仙台市地下鉄東西線 2012年も考える

仙台市地下鉄東西線は2015年の開業を目指して建設工事が進められています。

2012年8月、仙台市は地下鉄東西線の需要予測を、鉄道事業許可時の予測から33パーセント減少と再評価し、発表しています。

地下鉄東西線の需要予測が過大に見積もられているということは、当初予測で仙台市地下鉄南北線の実乗車数と大きく変わらない数値で示されていたことで、以前から想像することは出来ました。

需要予測が大幅に減少した今も、仙台市地下鉄東西線の沿線に住まれている方は、地下鉄東西線の開通に大きな期待をされていると思います。
 

地下鉄東西線はサブルート

仙台市地下鉄東西線は、地下鉄南北線のような幹線ではなく、仙台の街の東西を結ぶサブルートです。

仙台市地下鉄南北線は大街道である国道4号線沿いの、長町~JR仙台駅前~県庁市役所~七北田という主要な街を結び、泉中央から北の街とも路線バスや自家用車で結んでいます。

一方、仙台市地下鉄東西線は、住宅地である八木山、東北大学キャンパスがある青葉山・川内、商業地区である一番町・JR仙台駅前・仙台駅東口、住宅地・文教地区である連坊・薬師堂、住宅地・流通地区である卸町・六丁の目・荒井を結びます。

仙台市地下鉄東西線に対応する幹線道路は駅別にそれぞれにありますが、街道沿いの街を結んでいるということではなく、街の人口に対して駅を配置し、その駅を地下鉄東西線という線で結んだという形になっています。

地下鉄南北線に対して、地下鉄東西線が幹線に値しないと考える理由は、駅が配置された街が仙台市中心部から続く旧街道の街(宿場町等)ではないということです。

旧街道の街(宿場町等)というのは、奥州街道の様な大幹線沿いにあり、そこから街道外れの街へ行く道が分かれています。旧街道の街(宿場町等)は地域拠点としての歴史的背景があり、街道から分かれる道路が整備されているということで、広く人を集める装置が元からあるということになります。

駅へ連絡する道路などは新設すれば良いのでは?という考えもあるかと思いますが、ゼロからすべての道路を新設するということは大変な時間と費用が掛かってしまい、現実的ではありません。
 

八木山・荒井と泉中央・長町南の違い

泉中央は奥州街道の宿場町である七北田に隣接した場所にあります。元々田園地帯だった場所を区画整理をすることによって、宿場町の拠点性と道路を利用しつつ、白紙から街をつくっています。

長町南も、奥州街道の宿場町である長町に隣接した場所にあります。元々工場や田園地帯だった場所を区画整理した場所で、笹谷街道沿いという立地を生かし背後の住宅地の拠点として、また新設した県道仙台館腰線を通じて名取市方面の拠点として発展しています。
 

八木山・荒井は開発余地と背後人口が少ない

八木山の(仮称)動物公園駅は住宅地と動物公園に挟まれた場所にあり、駅前に開発余地はありません。

また、地下鉄駅周辺の用途地域は第二種住居地域に指定され、幹線道路から入った所は第一種低層住居専用地域に指定されていますので、駅前の大規模商業開発などはできません。

八木山の北側は竜の口渓谷などがあり開発抑制方針の為、集客可能人口は南側のみとなります。

集客するための幹線道路は都市計画道路川内旗立線と都市計画道路長町八木山線があります。しかし、都市計画道路長町八木山線は長町南駅・長町駅へ繋がる道路ですので、地下鉄南北線と直接競合することになります。

都市計画道路川内旗立線の沿いの住宅街では、宮城交通の運行形態によっては、路線バスとの競合が発生する可能性があります。

(仮称)荒井駅は仙台東部道路仙台東ICと荒井区画整理地区に囲まれた狭いスペースにあります。

東側は仙台東部道路ですから、その先は津波被災地として大きな開発は見込めない地域です。

駅の南側は田んぼを区画整理地として造成する予定になっていています。西側は荒井の区画整理地ですが、六丁の目駅がありますので、乗降客数は分け合う形になります。

荒井から先には産業道路が伸びていて、仙台港や多賀城、七ヶ浜、塩釜と住宅地があります。しかし、JR仙石線が並行していますので、仙石線利用者が地下鉄東西線へ移転してくるということは考えられません。
 

地に足のついた街づくりを期待

仙台市地下鉄東西線の起点・終点駅の状況を書いてみましたが、地下鉄南北線の泉中央や長町南のようにはならないということだけは言えると思います。

地下鉄東西線は問題があると時々書いてきましたが、開業年度も近づいてきていますので後戻りはできません。しかし、"地下鉄"イコール地下鉄南北線のようなものという考え方は現実ではなく、やめるべきです。

すでに、仙台市地下鉄東西線の建設費用が予定よりも減少しているという話が出ていますが、それだけではなく、今後は地に足のついた地下鉄設計、公共交通計画、街づくりができるようにしてもらいたいものです。